「市民活動」と聞いて何を思い浮かべますか？市民活動サポートセンターには、さまざまな分野の市民活動を行う団体が登録しています。

　今回は「つながり」をテーマに、学童保育やフリースクール、お寺での寺子屋、親子の交流イベントなど、子どもと大人が地域でつながる活動を行っているNPO法人E-LINK 代表理事の日向さんにお話を伺いました。

―活動を始めたきっかけを教えてください。

　もともと教員を目指していたんですが、自分が教えるより、子どもたちが色んな人と出会う場をつくりたいと思ったのがきっかけです。出会いを通じて子どもが育つということを大事にしたいという思いから、2017年に学童保育「アドベンチャークラブ札幌」を始めました。

―現在と団体名が違うようですが……

　2019年に法人化する際、「アドベンチャークラブ札幌」から名称を変更しました。人や地域のつながりが大事だったので、何でつなげる(LINK)かを考えたときに、教育(Education)だなと。誰のために活動するのかという語呂合わせにもなっていて、教育(E)のためにつながりますというのと、(L)はLocalで地域のため、(I)が私で自分のため、(N)がNeighborで隣の人と、(K)がKidsで子どものために全部つながるという意味を持たせました。

―なるほど。では、どんな社会を目指して活動していますか？

　色んな人たちが、とにかくつながる社会を作るということで「なまらツナガル」と掲げています。活動の拠点が札幌駅やテレビ塔そばという、ほぼ都会のような場所なんですが、地域の人と昔ながらのご近所さんのようなつながりもあリ、田舎のような都会「トカイナカ」をこの場所で作り、子どもだけじゃなく色んな人たちがつながる社会を目指しています。

―地域の方や大人を巻き込んだ事例はありますか？

　地域でのハロウィンのイベントですね。昨年は地域の25店舗にトリックオアトリート用のお菓子の用意など協力してもらい、当日は200組くらい参加者が集まりました。イベントがきっかけで、このお店に今度は家族で行ってみたいという声もあり、こういうところから地域とのつながりを作っていくみたいな感じです。

―活動に協力してくれる人とはどう出会っているんですか？

　町内会で出会ったり、参加したイベントでつながったり、プライベートで出会った人に連絡をしたり、スタッフや関係者みんなの口コミで声をかけてもらったり。学童保育に来ている子どもの保護者が、面白い人と出会ったから連れて来てもいい？と紹介してくれることもありますね。

―人とのかかわりで大事にしていることは何ですか？

　学校では出会わないような人と一緒に遊んだりすることで記憶に残り「あの人みたいにいつか私も」と思ってくれたり、やりたいことが見えてくると良いなという思いで、色んな人たちとの自然な関係性やふれあいを大事にしています。何がこどもたちの興味関心を広げるかはわからないので、僕らはとにかく種蒔きみたいな感じですね。できることやかかわれる人は基本拒まず、誰が来てもどこに行っても子どもたちには興味関心の種は蒔かれるし、それはいつ花開くかとか、花開かなかったとしても全然良いかなと思いながら、どれだけそういった機会を作っていけるかですね。

―いま課題に感じていることはありますか？

　まちの人たちとの本当の意味でのつながりってまだまだかなと思っています。協力してもらっているお店も多々ありますし、挨拶する人はたくさんいるけど、良くも悪くもまだ僕らの知ってる人たちからのつながりなので。町内でもこの場所を知らない区域や、小学校から離れた区域とか、まだ届いてない区域があると思うので、もっと広く周知していかないと、本当の意味でつながる「トカイナカ」にはならないと思いますね。

―今後の目標を教えてください。

　活動を広げることですね。今は創成東エリアですけど、この活動がモデルとなり、別の地域にも似たようなつながりのある、子ども中心のまちができていくと良いなと思っています。